第5回(2020)参加学生 共同宣言「会計学の学びに変革を!」

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アカウンティングコンペティション第5回(2020)参加学生 共同宣言
「会計学の学びに変革を!」

 

日本で「会計離れ」が進んでいます。公認会計士短答式試験願書提出者数は2010年のピーク時と比較すると約半数で推移しており,税理士試験の受験者数も同様である。また,日本商工会議所簿記検定試験受験者も減少傾向にあります。私たちは,「会計離れ」には会計学を新たに学ぶ者の減少と高度な会計学を学ぶ者の減少があると考えます。

「会計離れ」が始まったきっかけは,公認会計士試験制度が変わり,受験者数,合格者数共に増えたものの,合格者が監査法人に就職できない時期が生じ,難関の公認会計士試験に合格しても就職できないということがマスコミで報道され,誤解が生じたことです。また,会計ビッグバンに始まる会計基準の高度化により,会計学の難易度が上昇したことや,AI(人工知能)やICT(情報通信技術)の発達により,会計学の仕事がなくなるという論文,報道があったことも「会計離れ」の原因として挙げられます。

しかし,これらは誤解です。監査法人では公認会計士不足が続いています。また,会計学の難易度はビジネスが高度化したことが要因で,会計は複雑なビジネスや取引を集約,容易に理解できるようにする方法ですので,実際のビジネスの方がより複雑です。AIやICTの影響についても,簿記会計は過去からそろばん,電卓,パソコンとツールが変わってきており,AIやICTについても同様のことです。AIやICTを使いこなす高度な会計専門家の必要性はますます高まっています。

会計学に関連する組織や団体が上記のような誤解を払拭すべく,様々な広報活動を行ってきましたが,「会計離れ」から脱却できていないのが現状です。

このような現状に対する理解の下,私たちアカウンティングコンペティション(以下アカコンと表記)に参加した学生は,社会に対し「共同宣言」として以下の提案を行います。

1.私たち学生の学びの目的には,就職もしくは起業し,社会に出て活躍することがあります。企業は会計人材の必要性,重要性を再認識し,会計学の知識を持つ学生の採用数を増やし,そのことを対外発表してください。

2.大学は会計学の教育方法を再考してください。会計学,特に簿記教育の初期段階での脱落者の減少に注力すべきです。また,AIやICTの発達により,会計情報の作成過程からAIやICTの活用方法に重点を置いた授業内容への転換が必要ではないでしょうか。

3.会計学についてネガティブな報道が続き,会計学を学ぶ学生は不安を感じています。会計学の未来についての正しい情報発信をより積極的に実施してください。

4.会計学を学ぶ学生たちが,学習意欲を継続できるように,定期的に情報交換をすることのできる場を設けてください。会計学の学習を始めても,難易度の高い論点に直面した際や思うように点数が伸びないことで,途中で学習を辞めてしまう学生もいます。アカコンのような大会だけでなく,大学や専門学校等に学生間で切磋琢磨できる場を設ける事で,学生は互いに叱咤激励をして会計学の学習を続けます。

5.私たちアカコンに参加した学生の有志により,会計の未来についての正しい情報を発信する動画を作成,公開し,新たに会計学を学ぶ学生達の増加に寄与していきます。また,会計学を学ぶことで得ることのできるスキル,そのスキルを身に付けることで就くことのできる職業,職種をまとめた「キャリアマップ」を作成,公開します。これらの公開時期は2021年3月を予定しています。関連組織のご支援に期待致します。

私たち会計学を学んでいる学生は,会計学の未来を信じ,これからも会計学を学び続けます。

アカウンティングコンペティション参加学生一同
2020年12月13日